投稿

3月, 2018の投稿を表示しています

木下(2018)「福岡市が地方最強の都市になった理由」, PHP研究所

読書感想2: 木下斉(2018)「福岡市が地方最強の都市になった理由」,PHP研究所 http://amzn.to/2ppidtw 結論から言うと、特に福岡の学生は、まず読んだほうがいい本だ、ってことです。 どうやって福岡が発展してきたか、他の地域はどうだったか、将来の課題はなにか、 いろんなことがわかりますから。 いかにその地域が全国展開のナショナルチェーンや大型モールなどでにぎわったとしても、 (会社の登記上→納税先などで)利益が地域外の本社へ持ち出しになってしまうこととかは、 ひょっとすると1年や2年だと気づいてない学生も多いのでは、と思いますし。 で、 著者の木下氏の著書は以前も読んだことがあります。 「稼ぐまちが地方を変える」では、学生時代から早稲田商店街で奔走したことなど、 とても地に足が付いたというか、実践を繰り返して苦難を乗り越えてきた感がとても感じられて、 地域活性に興味関心のある学生に薦めるような面白い本のひとつでした。 そんな方が福岡のことをまとめられて、しかも地方最強と謳っている!ということで楽しみに読みましたが、 事前期待を裏切らない内容でした。 出だしの章にある ・みんなで同じことをやってはいけない ・個人の責任が問われることもない ・自分たちの頭で考え、自分でリスクを負って物事を進めることこと重要 といったことは、著者の経験に裏打ちされている分、重みがある言葉になってました。 (速読とかいろいろ言われるけど、結構行間を読んだり、著者の想いを考えることは好きな派です。) 生活費が安い&職住近接&食べ物がおいしい ことはいつでも出張・転勤する人に語られ続けてますが、 教育機会に恵まれている(九大の誘致がターニングポイントの一つだった)こととか、(USでのAmazon's second headquartersやLINEさんを含めて)クリエイティブ産業にも言及があるところとかはとても参考になりました。 なお福岡大商学部では、再来年度から、ゲーム・クリエイティブなどのコンテンツマネジメントを集中的に学べるコースがはじまります。経営学科の先生たちが奔走をしてくれています。ぜひぜひご注目下さい。 ちょっぴり宣伝でした… ところで、 本の中では「呼び水」という単語や、地元資本

奥谷・岩井(2018)「世界最先端のマーケティング」,日経BP社

※ぜんっぜん更新してないですが、ちょっとずつでもやらないと…と思い、普段読んでる本の感想等々も書いていこうと思います。 読書感想1: 奥谷・岩井(2018)「世界最先端のマーケティング」,日経BP社 http://amzn.to/2FoM68p オムニチャネルやエンゲージメントについての研究では実務・アカデミック両面で最先端を行っているお二人のご著書。副題の「チャネルシフト戦略」がメインの題がよかったのでは、と思うような、「チャネルシフト」や「顧客時間」の枠組みを提示し、それに合わせて最先端の現場をまとめていく、とても参考になる本でした。 Amazonという黒船が小売りの世界でも、AWSでIT・システムの世界でも伸び続けていく中、本のところどころや謝辞にある、「環境変化の激しさとオフライン企業の対応の遅さに危機感を持った」という、著者の思いが、(個人的にも)随所にかなり強く感じられました。 個人的に思ったことを挙げていってみます: ・チャネルシフトの枠組みはとても参考になるものでしたが、本やソフトや音楽のようなデジタルになるものは「on/off」という観点自体がもうないようなものを、どう説明するか、という点を深く考えたくなった。 ・ニトリさんの事例のところは、やはり日本のスペースの小ささ・狭さ、徒歩で買い物にいくこと、都市部が特に車を使わないこととかが、米国と違うところだな、ということを「歩く」カンザスという地にしばし住んでいた身として強く思った。ホントに米国(の特に郊外)は車が前提で、歩いてどっか行くって発想がないものね。  ・Uberの例では、ドライバーのratingというデータの蓄積が差別化要因になってくってこともあるな、と思ったけど、「消費者・利用者側のrating」も蓄積されてることがサービス提供側にもどう影響を与えるかとかも、深く考察したり、ビジネスチャンスとして掘り下げてみたら面白そう。 ・p.107に「オンラインを活用して接客技術を高度化」とあるけど、オムニ化もホントこれで、IDがシームレスにつながったけど現場やること変わってない、とかもあるあるだと思うので、オムニ化で現場がどう改善されていったか、には注目してみたい。これから研究でも突っ込んでいきたいと思う次第。 ・豊富な各事例があるけど「で、短期・長期的な成果、売り