木下(2018)「福岡市が地方最強の都市になった理由」, PHP研究所

読書感想2:
木下斉(2018)「福岡市が地方最強の都市になった理由」,PHP研究所
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結論から言うと、特に福岡の学生は、まず読んだほうがいい本だ、ってことです。
どうやって福岡が発展してきたか、他の地域はどうだったか、将来の課題はなにか、
いろんなことがわかりますから。

いかにその地域が全国展開のナショナルチェーンや大型モールなどでにぎわったとしても、
(会社の登記上→納税先などで)利益が地域外の本社へ持ち出しになってしまうこととかは、
ひょっとすると1年や2年だと気づいてない学生も多いのでは、と思いますし。

で、
著者の木下氏の著書は以前も読んだことがあります。
「稼ぐまちが地方を変える」では、学生時代から早稲田商店街で奔走したことなど、
とても地に足が付いたというか、実践を繰り返して苦難を乗り越えてきた感がとても感じられて、
地域活性に興味関心のある学生に薦めるような面白い本のひとつでした。
そんな方が福岡のことをまとめられて、しかも地方最強と謳っている!ということで楽しみに読みましたが、
事前期待を裏切らない内容でした。

出だしの章にある
・みんなで同じことをやってはいけない
・個人の責任が問われることもない
・自分たちの頭で考え、自分でリスクを負って物事を進めることこと重要
といったことは、著者の経験に裏打ちされている分、重みがある言葉になってました。
(速読とかいろいろ言われるけど、結構行間を読んだり、著者の想いを考えることは好きな派です。)

生活費が安い&職住近接&食べ物がおいしい ことはいつでも出張・転勤する人に語られ続けてますが、
教育機会に恵まれている(九大の誘致がターニングポイントの一つだった)こととか、(USでのAmazon's second headquartersやLINEさんを含めて)クリエイティブ産業にも言及があるところとかはとても参考になりました。

なお福岡大商学部では、再来年度から、ゲーム・クリエイティブなどのコンテンツマネジメントを集中的に学べるコースがはじまります。経営学科の先生たちが奔走をしてくれています。ぜひぜひご注目下さい。
ちょっぴり宣伝でした…

ところで、
本の中では「呼び水」という単語や、地元資本の集積、
ふくやさんの「オープンイノベーション」、
エリア単位の発展が個々の利益につながること、
といった、地域目線のことや、共有・共生といった観点がいくつか出ます。

ふくやの(3代目の)川原社長も、呼び水という単語をよく使われますし、
ダイレクトマーケ界隈やWEB広告まわりの、企業の壁を気にせず一緒に学びまくる現場と日々接しているので、
福岡の強みとして非常に共感するところでした。

その他気になった、メモしたところ等は:
・ハンデがあったこと、恵まれなかったことなどが逆に強みに繋がっていったところ
・量を求めず、利益にこだわる(→茅乃舎さんで調べた時のケースと一緒)
・博多vs天神という商業集積間競争の言及
・薬院とか清川とか、地元の人でないといかないようなエリアにも記述があるところ
・Saxenian(UC Berkeley)とかLevittとか、アカデミックの記述も紹介されているところ
・今後の課題もしっかり記述されているところ
などなど、です。沢山マーカー引きました。

福岡が、九州が、地元が、と言っている学生さん、ぜひ手に取ってほしいです。

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